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世界最長!世界一過酷!?なモーリタニア鉄道で砂漠を横断

世界最長の列車といえば

シベリア鉄道あたりの名前が挙がりそうですが、




ここモーリタニアにも
世界最長といわれる列車モーリタニア鉄道が走っています。

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走行距離はシベリア鉄道の方が圧倒的に長いですが(走行距離約9,300km)、

1963年に開通した
ヌアディブ~ズエラット間を走るモーリタニア鉄道(走行距離約700㎞
車両の長さが世界最長。


約200もの車両が連なり、
その長さ約2.5㎞!


山手線が1両20mで11両編成=220mと言われているので、
山手線11+α回分が全部繋がっているような状態長い長~い列車




そんなモーリタニア鉄道には“世界最長”という以外に
もうひとつ魅力的な点があります。




それは

とある条件の下、運賃無料で乗車できるんです。



その条件とは
貨物車両に乗車すること。



でも、この貨物車両での移動
世界一過酷な列車の旅との異名も。




有料で乗車する座席のある車両も最後尾の方にありますが、

面白そうな匂いがぷんぷんする貨物車両に
しかも無料で乗れるとあれば、


私は迷うことなく貨物車両を選択。






一体、どれほど過酷な列車の旅なのか。

目的地を
世界遺産のある街、シンゲッティにアクセスしやすいシュムとして


いざ、モーリタニア鉄道に乗車♪

※【これからの移動予定:
ヌアディブ―(列車)→シュム―(バン)→アタール-(バン)→シンゲッティ








乗車駅であるヌアディブの駅(GPS:21.007273, -17.031872)で西サハラのダクラから乗って来たタクシーの運転手さんや
相乗りしていたモーリタニア人のご夫婦にお別れを言っていると

後ろから警察官が声を掛けてきた。



まずは
その警察官にオフィスに連れて行かれ、

パスポート(原本)の提示パスポートのコピーを渡し、
※この後、モーリタニア内では事あるごとにパスポートのコピーを要求されるので
モーリタニアを訪れる際は多めにパスポートのコピーを用意していくことをオススメします


今後の旅程などをひととおり質問され、



その後は
駅の待合室で列車がくるまで待機

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※待合室内は電気や水は使えませんでした。トイレは駅のスタッフの方にお願いすれば鍵を開けて使わせてもらえました




警察の方々によると
今日の列車はPM4:00頃にやって来るらしい。



周りを飛ぶハエの量も増え、
砂漠エリアにやって来たことを実感しながら待合室で待っていると


同じように列車を待っていた人たちが
段々と外へと出始めたので、

私も彼らに続いて線路の方へと移動。

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先程の警察官が言っていた通り、
ほぼPM4:00に噂の列車がやって来た!!

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さすが世界最長と言われるだけあって

果てしなく続きそうに
いくつもの車両が目の前を通り過ぎていく。




ようやく列車が停車すると、

最後尾の座席ありの車両に
荷物を抱えた乗客たちがは次々に乗り込み始めた。




私の乗るべき場所はそこではなく、貨物車両。



問題は
これだけたくさんある中のどの貨物車両に乗り込むべきか




貨物車両は本来
人を運ぶためのものではないので背が高く、

私一人では荷物の積み下ろしが大変&一人でただただ何時間も過ごすのはきっと退屈してしまうので

他にも人がいる車両に一緒に乗りこみたいところ。



出来ることならば、
この列車に慣れている地元の方+私と同じ境遇の旅人
一緒の車両に居てくれたら、

楽しい列車の旅になること間違えなし。





…が、
見渡す限り旅人らしい人物は見当たらず。


でも、先程待合室で少しお話したご夫婦が
私と同じくシュムまで貨物車両で行くとのことだったので

彼らの姿を見つけ、
彼らのそばで列車に乗り込むタイミングを見計らっていると…




近くに停まっていた軽トラックに他の人物が
勝手に私の荷物を荷台に積み込み始めた。



何事!?
 
訳もわからぬまま、
この軽トラックに私も乗せられ

先の方の車両に連れて行かれ、

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果物たちを積み込んでいる車両の前で降ろされ、

この車両の中へ入れと
私の荷物もこの車両の中に果物と共に入れられてしまった。

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とりあえずこれだけ食料があれば、
砂漠の真ん中で万が一列車が壊れても

しばらく生き延びられそうな車両ではあるけれど…




たくさんの男たちが次々に荷物を詰め込み、
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身長より高い車両から
容易に重いバックパックを持って出ることも出来ず


仕方なくその場で事の成り行きを見守る。
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良くも悪くも
これだけたくさんの人が同じ車両に居れば
これから始まる列車の長旅も飽きずに楽しいものになるかも…



と、思っていたところ
たったひとりの男の人を残し、全員去って行ってしまった。

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アラビア語しかしゃべれず
しかも手にはナイフを持って同じ車両にたたずむ彼。


ここから
目的地のシュムまでは所要時間8~10時間。


ひょっとして
私この後、砂漠の真ん中を走り抜ける
逃げ場のない車両内でこの男の人と何時間も二人きり!?




この状況、
正直あまりいい気はしない。




なんで私は有無を言わさずにここへ連れてこられたのだろう??



疑問も残り、
出来ることなら別の車両に移動したいものだけれど

荷物の件もあり、
そう簡単には動けない現実。






そうこうしているうちに
列車は出発。




出発してしばらくすると
一緒の車両に残った彼が果物を差し出してきた。

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何せ言葉が一切通じないので
全て推測ですが、


彼はエリーという名前で、
モロッコ辺りで仕入れてきた野菜や果物を
モーリタニア鉄道の終点(ズエラット)辺りのお店へ納入する仕事をしているらしい。





手にしているナイフも
果物や野菜を調理する際に使用するもののようで…
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車両の角に砂を敷き、

その上で火を起こしてなにやら調理開始

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野菜や鶏をナイフで切って鍋に入れ、
ビニール袋と大皿で蓋をし、煮込み始め
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そこへマカロニも投入。


マカロニが唯一私が理解できた彼の言葉で
意思疎通できたことが彼は相当嬉しかったらしく、


この後に延々とエリーは“マカロニ”をひたすら連呼。

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走る車両の片隅で
じっくりと一時間半煮込んで完成した料理。


食え!食え!

と促され、ありがたくいただくことに。





野菜も鳥も味がしっかりと浸み込んでいて美味しい


けれど、
砂のジャリジャリ感が半端ない。




なにせ
この列車が走っているのは
砂漠のど真ん中




車両の側面によじ登って周りを見渡してみれば

目に映るのは

何もない砂地と
ひたすら前後に続く長い長い車両の姿のみ。

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料理のみならず

既に全身砂まみれ






こんな風にサングラスをして
その上からスカーフをグルグル巻きにしても、

目を開けるのも辛いくらいの砂の量が空気中に飛び散ってます。

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尚、モーリタニア鉄道に少しでも快適に乗車する為に
こんなものがあると良いかと。



~モーリタニア鉄道の貨物車両乗車中に役立つ持ち物~
≪砂対策≫
・スカーフ
・サングラス

・マスク ※食べる時以外常に着用してました
・荷物が全て入る大きさのビニール袋 
 ※口を閉じていてもカバンの中は砂まみれになります
・ウェットティッシュ or 赤ちゃんのおしりふき

≪暗闇対策≫ ※日が暮れたら車両内は真っ暗
・懐中電灯 or ヘッドライト

≪空腹対策≫ ※途中の停車駅でちょっとしたスナックとジュースぐらいは売り子がいました
・水と食糧

≪トイレ対策≫
※貨物車両にトイレなんてものは存在しません。走る列車の中では青空トイレも容易にはできません
・トイレットペーパー
・砂を入れるビニール袋 
※トイレ用の砂(猫のトイレのようなイメージ)。




貨物車両に乗る場合、
一番困るのがトイレ問題

私はせっかくトイレ用の砂を用意したにも関わらず
乗車時のゴタゴタでどこかに置き忘れてしまい、ものすごく後悔しました。


ちなみに後日出会った
このモーリタニア鉄道の貨物列車の旅の経験者は
車両の端に小さな穴を発見し、こんな風に手作りトイレ(小 専用)を作ったそうなのですが、

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ガタガタ揺れる車両内で
この穴(+漏斗代わりのカットしたペットボトル)に命中させるのは
なかなか難易度が高く、

列車が揺れた際に、
車両内に尿が散乱する大惨事になったらしい。




そして、
トイレ用の砂を持ち込みそびれてしまった私は

エリーが調理用に使用していた砂を少し分けてもらい
この車両内に作った自作トイレで用をたすことに挑んだのですが…

砂の量も少なく、暗闇のガタガタ揺れる車両内で
私も恥ずかしながら似たような惨事を起こしてしまいました。


くれぐれも貨物車両に乗る際は
しっかりトイレ対策を行っておいた方がよさそうです。

※途中の停車駅で青空トイレという方法もありますが、
貨物車両が停車する周りは茂みも無く、ちょこちょこ人も行き交い、
どの程度の時間停車するかもわからない状態なので
これまたなかなか難易度が高いです






エリーの料理を食べ終えた後も
列車はひたすら砂漠の中を進み、

PM8:00にもなれば辺りはすっかり真っ暗




途中の駅では停車した際には、
ヌアディブへ向かう対抗列車ともすれ違ったり。


地平線近くまで輝きを放つ星たちが瞬く空をバックに
長い車両が通り過ぎていく光景は

まるで映画の中のヒトコマのようでなんだかとても心に残る。




列車の貨物車両に乗って砂漠を走り抜けるという
初めての経験の醍醐味をじんわりと味わっていたこの時。




…が、この辺りから
車両の揺れが激しくなり、

揺れるたびに身体をアチコチを車両にぶつけ痛い


そこに砂漠の夜らしく寒さも加わり、

相変わらず宙を舞うの量も半端ない。



そんな状況下ではあるものの
まだまだ目的地のシュムまでは時間がかかるので

仮眠をとろうとウトウトしていると…





乗車時の嫌な予感は的中といわんばかりに
エリーによるセクハラ攻撃が始まった。



ひたすら揺れと寒さと砂と眠気と襲い掛かるセクハラ攻撃を
かわし続けなければならないという魔の時間



この魔の時間は
シュム到着の10分前くらいまで続き、

無駄に疲れました。。。





シュムが近づくと
ようやくエリーも諦めたらしくセクハラ攻撃も止み、
人が変わったかのように最初の料理を振る舞ってくれた頃の良い人に戻った。




ここでようやく余裕ができ、
改めて夜空を仰いでみると

ヌアディブ行きの列車とすれ違った頃より
数倍増しの美しい星空!!




プラネタリウムよりはっきり星座が見えるのではというくらい星たちは瞬き、
その背景にも幾千もの細やかな星たちが輝いている

まさにドラマチックな景色





もっとゆっくり
この星空を眺めていたかったという気持ちを持ちながら

深夜1:20、シュムに到着
※駅に列車が停車する際には特に駅名を確認できるようなものは見当たらなかったので
maps.meのような地図アプリとGPS大凡の到着時間などで
自分の目的地の駅か否かをきちんと確認した方がよいです


ヌアディブの駅を出発してから、
約9時間20分掛かりました。




エリーに手伝ってもらいながら荷物を下ろして
地面に降りると

タイミングよく
ここシュムからシンゲッティへ向かう為の中間地点となる街、
アタール行きのバンの勧誘を行う少年が駆け寄って来た。


遠く遠く
客席車両の方に小さく見える明かりがバンらしく、

もうしばらくしたら
そのバンが私たちのところまでやって来てくれるらしい。




しばらくして迎えにやって来たバンに乗り込むと、
The アフリカ!といった雰囲気の少年たちで満員。


深夜ゆえのハイテンションなのか、普段からなのかは謎ですが


“どこから来たのー?”などと、
次々にあちこちから少年たちが話しかけてくれました。





このバンは一旦オフィス的なところで停まり、
ここで料金の支払い(シュム➝アタール:2000ウギア)。


AM2:00頃には
このオフィスを出発したものの、

ここまでの移動の疲れもあってすぐに寝落ち。



AM4:00に目を覚ました時には
ちょうどアタールに到着したところでした。

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まだまだ真っ暗な時間帯。


辺りを荷物を持って彷徨ってみたものの
明るくなるまで時間を潰せる場所は見当たらず。





ひとまずバンを降りた場所に戻って来たものの
既に同じバンに乗っていた人たちの姿も消えており、

朝までどうやって過ごすべきか途方に暮れていると…




近くに停まっていたバンの中に人影を発見!



そのバンの中の人が私に気付いてくれたので話しかけてみると
朝までこのバンは出発しないので、

それまで車内で休んでいてもよいとのこと。




お言葉に甘え、
明るくなるまでこのバンの中で待機

夜が明けたら、
次の目的地、シンゲッティへと移動します。





世界最長、
そして世界一過酷と言われる列車の旅を経験した長い一日はこうして終了。




荷物も身体も何もかも砂まみれになり
それなりに過酷な点はありましたが、

ギュウギュウに人が詰め込まれた
日本の通勤ラッシュ時の列車の方が過酷さでは上回っている気がするというのが、

正直な感想です。






by ice_oga | 2018-02-08 05:02 | 交通・移動 | Comments(0) |