ニュージーランドバスの旅 5日目(後半)
現在地︰Rotorua (北島)
"Kia Oraー!!"
と、
ニュージーランドの先住民、
マオリ族のあいさつと共に
私達の乗ったRotoruaから走り続けていたバスに
突如乗り込んできた女性。
彼女は今夜滞在する
マオリ族の家系のご家族が営む宿のスタッフさん。
彼女の案内で
ここから
マオリ族の文化を知るツアーがスタート。
ニュージーランドは現在、
各所人口の15%程度がマオリ族系の人々が占めており、
ここRotorua近郊はその割合が30%と
他のエリアに比べて高めとのこと。
マオリに関する話を聞きながら進む道すがら、
途中でバスから降りて
彼女の後に続いて森の中へと入っていくと、
太平洋ポリネシア方面の島から
7隻の船でニュージーランドの地にやって来て、住み着いたと言われるマオリ族。
尚、マオリ族は文字を持たず
口承で彼らの歴史を伝えてきたので、
世界中で異なるマオリに関する言い伝えが残っているそう。
森の中に生い茂っているのが
ニュージーランドの至るところで
シンボルとして用いられるこの葉(人気のラグビーチーム、All Blacksのシンボルもコレ!)、
Silver Fern(シダの一種)も
マオリ族にとって意味のあるもの。
マオリ族(①)が
敵となる部族(②)を夜中に攻め込む際に
味方であるまた別の部族(③)が
攻め込む部族(②)の元へと続く道にこのSilver Fernの白っぽい面を上にして予め地面に敷き、
マオリ族(①)が攻め込む夜に
月の光に照らされることでSilver Fernが敷かれた道が明るく見え、敵地(部族②)への道を示したそう。
そして、
目的の敵となる部族②をマオリ族(①)が攻め落としたら
Silver Fernの葉を裏返し(あまり光を反射しない緑の面)にして、味方の部族(③)へ勝利を知らせていたらしい。
Silver Fernのシンボルをはじめ、
マオリ族の言葉、マオリ語も
ニュージーランドの公用語として認められており(街中の看板などは英語とマオリ語の両方が併記されていたり)、
マオリ族の文化は
今なお、ニュージーランドの各所で垣間見ることができます。
・15:30
再び走り出したバスは
人口は2000人程度の小さな街、Muruparaに到着。
この街には学校が2校あり、
マオリ語と英語の他、中国語、日本語の授業も行われているそう。
そんな小さな街をバスは走り抜け、
・16:00
今夜の宿、
Lake AniwhenuaにあるKohutapu Lodgeに到着。
このバスの旅の中で唯一、
朝夕食事付きの宿の為、少しお高めの89ドル。
マオリ族の宿というので
てっきりテーマパーク的なものを想像していたのですが、
想像とは異なる
湖のほとりにあるロッジ風の可愛いらしい宿(いわゆる宿舎風の部屋もあり)。
チェックインが済んだら
まずはひとりひとりスティックを手にし、
みんなが仲良くなれるようにと
全員参加の
マオリのゲームがスタート。
【ゲーム1】
皆で円を描いて立ち、
"マトォー"と言われたら『右』
"マウイ"と言われたら『左』側にいる隣の人のスティックを地面に倒れ落ちてしまう前に掴んで横に移動していくという
反射神経が問われるゲーム。
スティックを地面に落ちてしまったらゲームオーバー。
【ゲーム2】
スティクを地面に等間隔に並べ、
スティックに触れないように跨ぎながら、
数秒遅れて次々に走り抜けていくゲーム。
後ろを走る人に手でタッチされたり、
地面に敷いたスティックに触れてしまったらゲームオーバー。
地面に並べられたスティックは
船旅をするマオリの船をイメージしており、
船上での生活の訓練的なものから出来たらしい。
ちなみに、
実際のマオリ族が手にするTaiahaと呼ばれるスティックは
武器としての役割のほか、
猟の道具としても使われるもので、
このスティック自体が彼らの祖先を表しているものらしいです。
ゲームをみんなで楽しんだ後は、
マオリ文化を体験できるワークショップも催行(有料オプショナル)。
・マオリの伝統舞踊であるHakaダンスのレッスン(10ドル)
・マオリの伝統的な草を使った編みもの(ウェービング)でブレスレットづくり(10ドル)
・うなぎ釣り(20ドル)
※ハカのレッスン風景
私は特にワークショップに申し込んでいなかったので
その間、
湖が目の前に広がる宿のお庭でのんびり。
あまりに良いお天気と清々しさの中、
敷地内にあるバーでドリンクを購入(happy hourで2本10ドル)して、
夕食の時間まで飲んだり、
他の人たちとのおしゃべりタイム。
お待ちかねの今夜の夕食は
マオリ族の伝統料理、ハンギ。
ハンギは食材を地中に埋めて調理する
手間と時間のかかる料理とのことで、
"毎日の食卓に"というよりは
冠婚葬祭など
多くの人が集まる際に作られる料理とのこと。
ここで、
ハンギの作り方も見学。
地中の穴に
炎で熱した石を入れ、
その上に
食材(肉や芋など)を入れ、
布を被せ
その上に土を掛け、
食材に火が通るまで、
放置。
お腹を空かせて待つこと二時間半、
夕日ももうすぐ沈みそうな頃、
被せた土を除け、
布を剥がすと、
ハンギの出来上がり。
それはまるで
かつてヨルダンの砂漠で味わった
同じく地中で調理する料理を思い出させてくれる一品。
テーブルに準備された
マオリの揚げパンに
出来上がったハンギのお肉や芋を挟んで
"マオリ版ハンバーガーにして食べるのがオススメ"だというハンギ。
準備された数々のソースをかけて、
さっそく実食。
肉汁のジューシーさは少なめながら、
柔らかく美味しく調理された、チキンやポーク、
そして
時間をかけて調理された芋たちは、
甘みたっぷりで美味しい。
お腹いっぱいになるまで
ハンギを堪能。
締めにデザートも出てきました。
食事を終えた後、
とにかく明るい宿のオーナーさんが
急に真剣な表情でこんなお話を始めた。
人も減り、自ずとビジネスも減ってしまい
寂れかけたこの街を
観光業で盛り上げようと始めたというこの宿。
小さな街ではあるものの、
美しい自然に囲まれたこの場所。
近年は私達のような団体でのお客も増えてきたところ。
そして
街を盛り上げる為に欠かせない
"街の将来を担う子どもたち"はとっても大事な存在。
そんな子どもたちに
ここで夕食に振る舞ったハンギの残りを(給食のような形で)地元の学校に寄付しているそう。
そして、
私達、Stray Busのみんなでハンギを子どもたちに届けてほしいとのこと。
何やら意外な展開。
そんな訳で、
明日は朝から
子ども達の学び舎である地元の学校にお邪魔してきます。